投資信託のコスト、利回りの見方

投信の商品開発現場では=尚い分配金を」の声に押されて、高利回り資産の発掘作業を続けてきた。そして行き着いた先は、きわめて複雑な商品たった。投信の開発は行き詰まってきている。

投資信託は透明性の高い金融商品である

投資信託は透明性の高い金融商品である。投信の運用成績のよしあしは、投資している株式や債券などの資産を時価評価し、一口当たりに換算した基準価額に表れる。いい投信といえば「基準価額が上がる投信」だ。

 

その常識をひっくり返したのが、1997年に登場し、翌年に始まった銀行による窓口販売の拡大とともに、史上最大のメガビット商品となった毎月分配型の投信「グローバルーソブリンーオープン」だった。グロソブを早ぐから取り扱った当時の地方銀行の投信販売部門幹部は、分配金をお利息と呼び替えるよう号令をかけ、「投信を買えばお利息がもらえます。もっと買えばお利息も増えます」というセールストークで売りまくった。

 

「毎月分配型を買うお客さんは、そもそも基準価額など気にしていないし、買ったときの価格を覚えてもいない」基準価額などよりも、毎月明記される分配金の金額のほうに目が行く。おカネを預けている(運用している)といラ実感もわきやすいというわけだ。

 

以来10年あまり、「高い分配金を安定的に出す投信がいい投信」というイメージは広がるばかりだ。これだけその裏側を見ればのほうがいいことがわかるであろう。世界最大の市場である為替相場が舞台であり、通貨どおしの交換レートである為替レートの変動を利用するという実に透明、かつシンプルな取引なのである。

残る高利回りの鉱脈は「無法地帯」の債券

投信の商品開発の現場では、高い分配金利回りの商品を求める販売会社から背中を押され、高利回息買産を探し回る発掘作業が続いてきた。グロソブのような従来型の先国など「先進国のハイイールド社債(低格付け社債)」や新興国が国際市場で米ドルなど先進国通貨建てで発行する「グローバル国債」、そして新興国が自国で発行する『現地通貨建て国債』、ついには新興国の企業が国際市場で発行する先進国通貨建ての「エマージングーハイイールド社債」が業界で注目され始めている。

 

本来は安定志向が強いはずの債券ファンドの分野でも、なりふI構わぬ利回り追求に突っ走ってきたのである。もっととも、「こうした債券分野もの鉱脈もそろそろ尽きてきた」(運用会社)という。たとえば、業界注目のエマージングーハイイールド社債は、開示制度や流通制度などが整った国際市場で発行され、利回りも確かに高い。先進国のハイイールド社債よりも平均的な格付けではむしろ上回るなど割安感もある。

 

ただし、市場規模が小さいうえにに、そもそも投信の販売現場では、「新興国企業の信用リスク」など、いかにも一般投資家が敬遠しそうなリスク要因を説明しなければならない商品は嫌われる。

 

「手間がかかるだけで、とても売る気になれない」というのが売る銀行サイドの反応だ。エマージングーハイイールド社債のさらにその次の債券となると、新興国の現地市場で発行される新興国企業の社債ということになるが、現地通貨リスク、開示制度や破綻法制の整備状況まで考えれば、無法地帯に等しい。そう簡単に入り込める市場ではない。

 

そこで、このところ再評価されているのが株式だ。

 

債券バブルの結果、先進国の国債利回りは歴史的な低水準に張りつく一方、株価下落によって株式の配当利回りが高まり、日本、米国、欧州などの先進国株式市場で国債利回りを上回る高配当銘柄が続出しているのである。グローバル株式の配当利回りは平均で2・4%、複数の高配当銘柄に分散投資すれば4〜5%の配当利回りは確保できる。これはグローバル先進国国債の利回y水準
2%程度と比べ、確かに魅力的に映る。

 

先進国の現在の株価水準はPER(株価収益率)で101-I3倍程度。これは益利回り(1株当たり純利益を株価で割ったもの)で7.7〜10%となり、他の資産クラスと比較しても有利な利回りとなっている。クレジットリスクが高まっているためをもったほうがいいであろう。