投信の商品開発現場では=尚い分配金を」の声に押されて、高利回り資産の発掘作業を続けてきた。そして行き着いた先は、きわめて複雑な商品たった。投信の開発は行き詰まってきている。
株価の値上がり益を捨てる株式投信の登場
金融資産の本流である株式への回帰はあるのか?
そうはいかないだろう事情がある。販売会社も一般投資家も、とにかく求めるのは「利回りの高さ」だ。人民元建ての運用会社はこれを引き立たせるような商品の仕組みをつくらなければならない。
じつは、そうした利回りをとことん追求する株式ファンドは、すでに出始めている。「通貨選択型カバードーコール戦略付き高配当株式投信」だ。後述する『通貨選択型』と「カバードーコール戦略付き」、それに「局配当株式」を対象とするいわゆる3階建ての複雑商品だ。
このうちカバードーコールとは、たとえば3ヵ月間で株価が10%以上上昇した場合は、その10%を超す上昇分の利益を相手に譲る代わりに、あらかじめその権利代としてプレミアム(上乗せ金利)を受け取る取引だ。もし、株価の上昇が10%以下であれば、プレミアムは丸儲け、なにも失うものはない。
これを3ヵ月ごとに4回繰り返せば年4%ほどのプレミアムを獲得できる。株式の配当利回りと合わせれば年8〜9%の利回りとなり、ハイイールド社債にも対抗できるというわけである。
いっそうのこと、3ヵ月間での株価の値上がり益をすべて手放すなら、年16%くらいのプレミアムをケットできることになる。配当利回りを加え、「年20%を超す利回り」というのも計算上は成り立つ。
しかし、である。株価の値上がり益を受け取る権利を売り払い、代わりに得たプレミアムを分配するようなファンドを、はたして株式ファンドと呼べるのだろうか?
株式市場の成長に投資するのが株式ファンドではないのか?
じつは国内投信の計理上では、将来の値上がり益を受け取る権利を売り払って得たプレミアムは、先物の7冗り建て」と同じ扱いで、投信の収入ではなく負債と見なされる。つまり、国内投信ではカバード・コールによるプレミアムは分配原資には使えない。
しかし、外国投信を使ったファンドーオブーファンズの形態とすれば、この問題をクリアできる。組み入れた外国投信からの元本の払い戻しを、国内投信の側からは分配の受け取りとして扱い、分配原資としている。これは通貨選択型の=局分配」の仕組みでも使われているテクニックだ。
投信の商品開発は高利回―資産探しを続けたうえ、後述する2階建ての通貨選択型や3階建てのカバードーコール戦略付きといった複雑怪奇な仕組みのファンドに行き着いた。複雑怪奇な仕組みの裏では、投信会計上の分配の制限に抜け道をつくり、高分配を実現するための策が弄されている。投信の商品開発はいよいよ行き詰まってきた。